2017年5月31日水曜日

果たされた約束

もう今日で5月も終わりなのに、
まだGWのネタが一つ残っていました^^;

ども、代表の生熊です。

このお話は去年の東京旅行にさかのぼります。

去年の年末に
以前から計画していた娘の高校進学のお祝い旅行、
「東京ディズニーランド」をメインにした東京旅行に出かけました。

ディズニーランドは別に迷うことなくそれだけで楽しいのですが
東京旅行となると、目的を決めておかないと色々ありすぎて困っちゃう。。

ということで、娘に「東京旅行で行きたいところ」を聞くと・・・

銀座にある「ヴァニラ画廊」に行きたい!

とのリクエスト。

なになに?ヴァニラ画廊ですと??
と調べてみると、中々サブカルな匂いのするよさげな展示空間ではありませんか!

こういうところは好みが似ているので私も興味津々。
旅行が予定されている年末の催事予定をネットで確認して、またまたビックリ!!

古屋兎丸展「深い嘆きの中で」

ええええ?!古屋兎丸先生の個展が予定されている!!
もう、これは行くしかないです。

だって、私、古屋兎丸先生のファンになってかれこれ20年ほど。
ギャグも痛々しいのもあんなのもこんなのも、
全部ひっくるめて大好きなのですから。

そんな訳で行く前から期待をしていたヴァニラ画廊の個展。
ディズニーで遊んだ次の日に銀座へいそいそとお出かけしました。

銀座なんて慣れないもので、少し道に迷ったのですが
実際に目にした建物も空間もかなりレトロで雰囲気のある感じ。
「おおー」と思いつつ中へ進んでいきますと

な、な、なんと!
そこに古屋兎丸先生ご本人が!
本日来ていらっしゃるということでーーー

もう本当にビックリビックリ!!
まじかぁ〜激アツですっ。

しかもグッズを買えばサインして貰えるとの事で
ぐるぐる迷った挙句
ここはやはり「行きたい」と言い出した娘に譲るべき、
と心に決めて

グッズにサインしてもらって握手をしている娘を
私は後ろからニコニコ眺めておりましたら

まさかの!!
本当にまさかの!!ですよ

こちらにも手を差し出して下さって(涙)
がっちり握手をしちゃいました。

ぅおおっ!!神ってます。

先生の手を握りながら
実は娘より喋ったかも?ww
だって娘よりも長くファンをやってますから。

そしてその時に古屋兎丸先生から

「帝一の國、GWに親子で映画を観にいってくださいね」

と満面の笑みで言われ
親子で「はい!!観にいきます」と元気よく返事をしたので

5月7日に映画「帝一の國」を観にいっていました。
兎丸先生!約束を果たしましたよ~!!

しかし、すごいですね。
観客の98%が女性。

それもそのはず今をときめくイケメン俳優がわんさかと出ております。

エンターテイメントとして豪華だし、
こんなに演技がちゃんとしたコメディは久しぶりで
めちゃくちゃ楽しめました。

菅田将暉さんとか千葉雄大さんとか
初めてちゃんと映画に出てるのを観ましたね。
いつも洋画が多いので^^;;

画面をみながらも「ああ、これは兎丸先生の漫画のヒトコマだなぁ」と
ニンマリできる場面もあってかなり楽しかったです。

娘と映画を観終わって、
なぜかガッチリ握手をしましたww
また「帝一の國」を読み直したいなぁ。


さて、これでようやくGWネタが終了しました。
読んでくださった皆様に感謝です。

次からは通常に戻りますね。
これからもよろしくお願いします。


2017年5月28日日曜日

義足(あし)

私は、現在左下肢切断で膝下から義足を装着しています。

切断を決断するときは本当につらかったです。

時期は丁度、東日本大震災のころでした。

だんだん左足の甲が痛くなって、
早く病院に行けばよかったのですが、
我慢をしてしまい病院に行ったらすでに遅かった。

病院に言ったら即入院で
ベットメイキングをしている先生と看護婦さんが切断の話をしていました。

「それって、僕のこと」と聞くとすかさず先生が、

「そう、君のこと」といわれました。

思わず、「ちょちょっと、待って」といってしまいました。
ちなみにその先生は、今の私の主治医です。

その時にその先生に

「糖尿病で足を切断しても、義足を装着して元気に働いていますよ。
切断の決断はよかったと思っています。
それにこのままほっておくと敗血症で命がなくなりますよ。」

といわれました。


そんな話を聞くと、
切断を選択しなければいけないと頭でわかっていても、
足を切断するのは嫌だと心が叫びます。


でも、結局切断することにしました。


手術後、自分の足を見た時より、
鏡で体全体を映し見た時の方が、実感がありました。

あーあーやっぱり左膝下がなくなったんだ。

次の瞬間、早く義足がほしいと強くねがうようになりました。


そして、リハビリがはじまりました。

これが無茶苦茶きつかった!

体感、腹筋、背筋、などなど
高校時代の体育会系クラブなみでした。

それ以上にきつかったのは、
2回断端部分をぶつけてしまったので、
2週間で治るところが、退院するまで4か月かかりました。

そして義足を作り出すまであと2ヶ月かかりました。

絶対歩くんだという思いが支えでした。

そして、一番の頑張りをくれたのは
テレビで見たアメリカの小さい子供の1枚の写真です。

それは、両足義足で駆け足している姿です。

先天的に足が不自由で
歩くためには両足切断して義足装着するしかなかったようです。
切断、義足を決断したその子は、
私にタイムリーで衝撃を与えてくれたのは言うまでもありません。

本義足の前に仮義足があって、その前にギブスに足部つけたような簡単な義足があります。
その義足で手術後初めて立って、少し歩けたときすごくうれかった。

なくして、よくわかります。
あたりまえなことがどれだけ大切か。

あたりまえに感謝です。


2017年5月25日木曜日

西へ約65キロ自転車に乗りました

GWが終わり、
5月が本格的に稼働し始めて2週間が過ぎました。

実は、今月末が決算にあたるので、
 会計処理だの棚卸だのといきなり忙しくなっています。

1日24時間は誰しもに平等にあるので
時間という「概念」はとても好きなのですが、
こういう時にはとにかく時間が欲しいですね^^; 


それでもブログは休みませんよw
予告通りGW後半の初日(5月3日)の話をしようと思います。 


肋骨を負傷する前の3月のはじめごろ、
 4月のはじめに岡山の実家へ行かなければならない用事があり
それだったら自転車のトレーニングを兼ねて
「姫路」あたりまで自転車で走ろうと思っていたのです。 

「姫路」からは輪行袋に入れて楽々電車移動しよう!
という ワクワクの楽しい計画を立てていました


・・・が!!

 肋骨の怪我があり、、
4月の「姫路」は断念。

 皆さん、ここで「姫路」にピピっと来てくださいねw

そうなんです。
弊社のスタッフである新名さんがほぼ週末ごとに戻っているという地域!! 

これはせっかくの機会だし
「自転車で行くから姫路を案内してねー!」と約束していたのですが
それも怪我のため果たせず。。 

悔しいなぁと思っていたので、
今回はリベンジのつもり・・・

だったのですが、、、

まず、前日まで
かなり自転車に乗るかどうか迷ったんですよね。 

怪我も治ったばかりでしたし、
リハビリで30キロぐらいは乗っていたのですが
姫路までは約80キロという道のり。

しかも一人で走るし(これはほとんどいつもですが^^;)

さらに西宮よりも先は始めての道だし。。 

どうしようかなあ、
と思いつつも 全く乗らないのは自分自分の選択肢にないので

「駄目だったら途中までにしよう」
とゆるーい目的で走ることにしました。

 新名さんにも「もしかしたら断念するかもしれない」と告げて
午前9時30分西に向けてスタート。 

とりあえず、予定していたルートをここに貼っておきますね^^


 これ面白いでしょ。

 ただ、このルートラボにはちょっと欠陥もあって
車しか走れないバイパスなんかもルートが引けちゃう。 

お陰で神戸の三宮界隈はかなり迷いました^^;; 
ルミナリエでしか来たことのない「東公園」の周辺ぐらいまでは
順調だったんですけどねー

 ルミナリエって夜だから昼間の姿を知らなかったよ。
こうやって自転車で走ると街の色んな表情も見られて 楽しいです^^

この道はここに通じているんだとか
そんな発見もあったりします。 












ただ、街の中を走る時は車や歩行者も数が多いので
 かなり緊張して乗っています。

反対に海沿いの国道とかは、
めちゃくちゃ気持ちよかったですね^^

道は狭いんですけどね。 
さすがにGWなので
須磨の海浜水族館は大勢の観光客であふれていましたが

海水浴にはまだまだ早いし 自転車で走るには本当にいい季節♪





それでも須磨を越えたあたりで、
かなり時間をロスしている事に気付き、

 今日は「姫路」は無理かなーと思い始めました。








まあまあ、今日はそれもOKとしてスタートしたので
行けるところまで行ってみよう!とさらに西へ。



中間地点と定めていた垂水に到着して
新名さんに
「今日は姫路までは無理っぽい」
と電話する羽目になりました。









ごめんね><
でも、次は絶対に行くから!!! 




怪我からの復帰で調子も取り戻しているし
さらにトレーニングも積んで

 再チャレンジを 明石海峡大橋に誓うのでありました。












で、結局ゴールは西明石駅に決定。
 明石焼きを食べて帰ろう!と思ったけど


すごい行列。。。










なので、明石焼きも今回は断念。 
帰りは輪行袋に自転車を入れて 電車で戻ります。
楽チン♪















電車の中では爆睡!!と言いたいところですが

自転車が邪魔にならないようにちょこちょここまめに動かしていたので
それほど眠れず、
何とか自宅の最寄駅に到着^^

 それでも走った距離は65キロ!!!

 いやあ、面白かったです。

実はこの土日にも静岡県の浜名湖を1周してきました。
 こちらは見事達成!!


 ・・・でしたが

スタートの時点で右に転倒し、
 可愛い自転車にキズが・・・
さらにペダルを回すと変な音がする>< 


気になるのでメンテナンスに持っていこうと思っています。 

そんなこんなでまだまだ自転車には乗る予定です。
 次はどこを走ろうかなぁ。


2017年5月13日土曜日

終わりよければ全てよし!私のGW

またまた来ましたブログの当番!!
さあーー今回は何をテーマに書こうかなーーー(@_@

皆さんはGWはどのように過ごされましたか?

遠出した人、近場で遊んだ人、人が多いからと家から出なかった人、
体調が悪くて遊びに行けなかった人、色々だと思います。

私の場合ですねーー(興味ないとおもいますが・・・)

お休みの5日間は初日は風邪をひいてしまい家でゆっくり・・・。


2日目 子ども達を大きい公園に連れていくと約束していたので、
しんどかったけど、1時間歩いて大きい公園へ・・・。
公園に着いた途端ダウン・・・(=_=)
世のお父さんみたいにベンチで横になる・・・笑笑

少し元気になったので近くの海へ・・・

岩場にカニさんがいたので子ども達大興奮!!
ちなみに私も大興奮!!笑笑
結構長い時間 カニ探しに没頭・・・。
なぜか私だけスニーカーがびちょびちょ!!(―_―)!!

そして1時間かけて帰る。

そして家帰って死亡・・・。
やっぱり無理したらダメだ!!
高熱・・・久しぶりの高熱・・・あーーーーーー!!

朝までゆっくり寝かして頂く。
家族よ、ありがとうー笑笑


3日目 我が西宮のプロバスケットチーム(西宮ストークス)の試合!!
前の日ゆっくり寝かしてもらったから、復活―――――(^○^)

友達とその子どもと試合観戦!!

私はお酒を飲みながら・・・。
周りみたら飲みながら観戦しているのは私だけ・・・笑笑

そんなことはどーでもいいーーーーー

今日勝てばB2リーグ優勝!!がかかっている。
そしてそして
見事勝って優勝―――拍手拍手

めちゃめちゃ盛り上がりましたーーーー。楽しかった(*^^)v
ブログ読んでくれた皆さんーー良かったら西宮ストークス応援お願いします。


4日目 友達との飲み会・・・ニヤリ


GW最終日 我が小6の息子のバスケットの練習試合!!

いつもカッコつけて頑張らない息子ちゃん・・・。
それをすると私からいつも泣かされるくらい怒られて、
毎回辞めろって言われる息子ちゃん・・・笑

そのたびに次から一生懸命頑張る!!って泣きながら言う・・・

でもでもこの試合はめちゃくちゃ頑張った!!

コーチからもちゃんとやれば上手いのに・・・
今日は目が違うと・・・褒めてもらえるぐらい頑張った!!

だから私もめちゃくちゃ褒めてあげました(*^_^*)

これで自信つけて一生懸命頑張ってくれたらいいなーーー
期待しているぞ!!
我が家のたった一人の男の子よ!!







と 言う事で我が家のGWは最終日が良かったのでよしよしです。

2017年5月8日月曜日

映画『ゴンドラ』によせて

GW はいかが過ごされましたか?
代表の生熊です。

今年のGWは、遠出はしなかったものの、
色々と充実していました。

今月のブログネタは全てゲットした感じですよ^^

と言うわけで、まずはGW 前半のお話しから。
ちょっと長文になるので、覚悟してください。笑




先月29日、
私の住んでいる大阪九条の映画館シネ・ヌーヴォで
映画『ゴンドラ』を観ました。

ご近所にあるミニシアターということで、
目の前を通る度に上映される映画のチェックをしているのですが、
その時にたまたま見かけたチラシの小さな記事とその写真に
心がザワザワしました。

こういうザワザワには敏感です。
チラシには30年前話題になった映画のリバイバル上映という事しか書かれていないし
小さな1枚の写真には小学生と思われる女の子が向こうを見つめる白黒の写真

悲しんでいるようなのに、睨んでいるような、
訴えているようなのに、拒んでいるような

そんな姿の写真が1枚。

その上に強烈なコピー
「あなたには居場所がありますか?」

このまっすぐなコピーと
たった1枚の写真と数行の紹介しかないのに、、
気になってしまったんです。


しかも今回のザワザワはかなり強い。
これは絶対行かなくちゃ!咄嗟にそう思いました。

インターネットの無かった時代は映画館のチラシが全ての情報源でした。
あるいは、映画マニアのフリーペーパーのレビューから
自分のアンテナにピピっと来たものを観にいくということをしていました。
だから自然とこうした感覚が磨かれたのかもしれません。

でも、今は事前にどうしても調べてしまいますね^^;

映画『ゴンドラ』を調べていくうちに
よくわからない事がおき始めます。

伊藤智生監督って、もしかして・・・・
「TOHJIRO」監督??

ある業界では巨匠と呼ばれる類の方です。
まさか!と思いましたが、同時にもっと興味が湧きました。

気になる方は調べてみてくださいね^^;

しかも、監督の舞台挨拶があるという事で、
「いつ行くのか?」というのも本決まりとなりました。

シネ・ヌーヴォでも小さい方のスクリーンに8割ほどのお客さんが座りました。
いつもは一人で観る事が多いのですが、
今日は弊社の映画ブログで記事を書いてくれているライターと一緒です。

映画は静かに始まりました。

都会の高層ビルの窓を清掃するゴンドラ。

そのゴンドラに乗り清掃をする青年。
青年はいくつかのオフィスの窓を拭きます。
オフィスでは忙しく大勢の人が働いていますが、
誰も窓を拭く青年には見向きもしません。

それだけで、彼が味わっている「孤独」が伝わってきます。

ゴンドラから真下を覗けば
多くの車が流れていく。

その雑音が・・・
海の音と重なります。

その内に音は風景を作り、青年に「海」の幻想を見せるのです。

一方、都会で生きる少女は、
プールの授業中に自分の体内から流れ出す血液をみて倒れてしまいます。

保健室で目覚め、
一人で「生理用品」を購入して帰宅する少女。

画面はぐにゃぐにゃと歪み
その時に覚える妙に不快な感覚だけが彼女の存在を表しているよう・・・

それだけで彼女もまた「孤独」を味わっているというのが伝わります。

1986年、11歳(という設定)のこの少女「かがり」は
奇しくも私と同い年。

テレビから流れるスタイリッシュな「生き方」や
きらびやかな都会とは切り離された「岡山の田舎」に住んでいた私は、
何故だかものすごく「現実味がなかった」のを覚えています。

そのころの岡山の田舎は
雑誌が東京の3日遅れで販売となり、
ファッションビルと呼べるのは岡山駅前にあった「ビブレ」ぐらい。

しかし、そこで売られていた「DCブランド」は高額で手が出ず、
大衆の味方「ダイエー」でなんとなくそれっぽいものを見繕っては、
「個性」という言葉に憧れを抱きコーディネートを考える日々。

そのうち私は「ファッション業界」で働きたいと思うようになります。

「個性を大事に」や「個性を伸ばそう」というメディアの流れを受けて
スローガンだけは掛け変わったはずなのに
学校では「協調」だの「統制」だのを当たり前のように強いられて

何が本当でどの言葉を信じればいいのか・・・
「現実味のない世界」
その時は真実なんてどうでもよかったのだと思います。
誰もわからなかったと思います。

だってバブル(泡)だし。。

多分、それは今でもあまり変わらないんじゃないかな。

しかも、小学校時代から集団になじめなかった私は
中学入学してすぐにひどい「いじめ」にあいます。

登校を渋る私を両親は最初学校に行かせたいようでした。
1ヶ月ほど両親とじっくりと話をした後、
明言されたわけではありませんでしたが
「無理やり登校しなくていい」と私の味方になってくれました。

両親は私の味方でしたが、世間からは

「登校拒否児」

その時はそう呼ばれました。
そして(いじめを受けているにもかかわらず)立派な「問題児」というレッテルまで貼られました。

実は「不登校」というより私はこの「登校拒否」という言葉が好きです。

登校できないのではなく、あえて「拒否」しているという
自らの意思を示しているみたいに聞こえませんか?

日中、しんとした住宅地で
真夏の日差しの中を一人で歩けば
「かがり」ちゃんと同じく「ぐにゃぐにゃ」と視界がゆがみました。

その後、私は学校だけでなく社全体をも「拒否する」ように
「心因性難聴」という方向へと進んでいきます。

冒頭部分だけでいつもはフタをしている「出来事」が
ボロボロ飛び出してしまいました。

その後、青年と少女かがりは「文鳥」の死をきっかけに出会うことになります。

ー死んじゃうと、生きてたことってどこいっちゃうのかな?

この「かがり」の台詞は
私が自殺を考える時にいつも頭に思い浮かんでくる言葉と同じです。

この言葉が思い浮かぶと私は「自ら死ぬこと」が空しくなります。
こんなにこんなに辛いのに
私が「生きていたこと」が「死ぬ」ことでふわっと消えてしまうのは
何だか許せないのです。

この台詞を聞いて「ああこの映画には死者は出ないな」と安心しました。
これは、みんなが「必死に生きている」映画なのです。

もちろん少女かがり自身もそうですが、
彼らを取り巻く「家族」もまた様々な事情を抱えて「生きて」います。

かがりの両親は
さえない作曲家の父と懸命に夜の仕事で家庭を支える母という設定です。
言い争う中で離婚を選び、
シングルマザーで「かがり」を育てる母のプライドたるや凄まじいものがあります。

離婚したことで負い目を背負いながらも
自分の質を落としたくない母はきっと夜の仕事でもトップクラス。
という事は「お客さん」とのお付き合いも多く、きっと物凄く忙しいことでしょう。

英語のレッスンを受け、メイクや髪型に気を使い、
常に自分を高く保ち続けなければならない。
このプレッシャーと「子育て」の両立はそれほど簡単ではない。

だから「こんなに必死で働いているのは誰のためだと思っているの?」というオーラを
かがりに浴びせ続けます。

男女雇用機会均等法が出来たばかりのこの年、
もっともっと女性の働く現場は厳しかっただろうし、
ましてやシングルマザーの境遇なんて陽の当たらない草道みたいなものだったでしょう。

でも、それは今の時代、改善されているのか?と言われると
そうでもないのかな、と近年起きたいつくかの痛ましい事件などを見ると思います。

シングルマザーのかがりの母親、彼女もまた孤独なのです。

それを象徴する台詞があります。

かがりは死んだ文鳥を一度は土へ埋めようとしますが、
それを諦めて一時的に家に持って帰ります。
文鳥を保管するため彼女が選んだのは母親の「弁当箱」

その中にそっと文鳥を入れ、冷蔵庫に仕舞うのです。

ふとしたことでその弁当箱を見つけてしまう母親は
叫び声をあげて文鳥をゴミ箱に捨て、狂ったように全身をシャワーで洗い始めます。

そこへかがりが飛び込み「文鳥をどこへやったの?!」と母親に詰め寄ります。

母親は文鳥はゴミ箱へ捨てた、とかがりに吐き捨て、その後・・・

ーお母さんの子どもの頃からのものはあの弁当箱だけだって知っているでしょ!!!

この母親がどんな背景を持っているのか?というのは映画の中では描かれていません。
しかし、子どもの頃からのものが「弁当箱ひとつ」というこの台詞が
彼女がどれだけの思いでここまで生きてきたのか、
そしてかがりを産み育て、
この都会で必死に生きているのかというのを強烈に伝えてくるのです。

そんな大切な「弁当箱」に死んだ文鳥を入れられた悲しみ、そして怒り
でも、それがまた自分の子どもの手によってもたらされたもので・・・
行き場のない思いが渦巻いていきます。

これは壮絶な「子離れ」だと感じました。

しかし、この一時の「許せない!」という思いも、
やがて帰ってこない娘を心配するという正常な軌道に戻ります。

失って始めて気付いた自分の気持ち。

それは青年の田舎でも同じようなことが起こります。

文鳥を弔うために青年はかがりを連れて北の田舎にある実家を目指します。
そこで、かがりは「家族」の温かさに触れていくのですが、
その「家族」もまた母が必死に守った存在でした。

青年の父親は漁師なのですが、
病気で働けなくなりその後アルコールに溺れ、暴力を振るい
挙句、脳梗塞で半身に麻痺が残った状態。
そんな夫が働けなくなったら自分が朝から晩まで働いて、
病気をすれば介護をして支え、今も夫によりそう青年の母親。

きっとこの母親は「離婚」という選択は思いもしなかったでしょう。
だからこそ、ここまで強いられた「忍耐」と「孤独」が画面から滲み出ます。

青年は母親のそんな姿に「歯がゆさ」を覚えます。

そして「あんな父親なんか病気した時に死んでしまえばよかったのに!」と口走ってしまいます。

今、青年と同じような台詞を思いながらでもかみ殺して
必死で家族の介護をしている人たちがいます。

私の父親も最初は心筋梗塞、その後に脳梗塞を患い、
一時的には麻痺も回復して自分の足で歩いていましたが
何度か発作を起こした後に半身不随で麻痺がのこり、車椅子で生活をしていました。

朗らかで、活発で、歌の好きだった父親の顔が
麻痺のためにこわばり、
ほとんど表情を動かさなくなったのを見た時には衝撃を受けました。

リハビリは続けていましたが、それほど回復もなく
長く家族で介護を続けていく中で
閉塞し疲弊する母親や妹をみていると息苦しくなる瞬間は沢山ありました。

その時には私はもう心理に関わる仕事もしていましたから、
このままでは母親や妹が潰れる!と感じて、
地域の介護の相談やヘルパーの活用を提案しました。

結果、デイケアという形で介助が入り、お風呂や食事の負担がぐっと減りました。

多分、あのままだったら
「あんな父親なんか病気した時に死んでしまえばよかったのに!」と
家族の誰かが口走ってもおかしくない状況だったと思います。


かがりに必要な「家族」という集合体は
「家族」だから起きてしまう問題も抱えていて、

これが「現実」なんだとスクリーンからはっきりと突きつけられているように感じます。

そういえば「機能不全家族」なんて言葉がありますが
香山リカさんだったか、上野千鶴子さんだったかが
「機能健全家族」なんて存在するのか?と言われていて妙に納得した覚えがあります。

不自由のない幸せな家庭で育った子どもが事件を起こす、
最近はそれも「よくある事」だと感じませんか?

それとは逆に「機能不全家族」で育った子どもの逞しさを私はたくさん見てきました。


きっとこの少女かがりもそして青年も同じだと思います。
サバイブ(生き残る)する力がある。

映画では結論は描かれていません。


しかし、映画を観終わった後の
監督を交えたオフ会で、
プロデューサーの貞末麻哉子さんからひとつの結論を聞きました。

かがりを演じた上村佳子さんは、
当時本当に「登校拒否児」だったそうです。
※私もこの時に始めて知って「ええええ?!」となりましたが。。

上村佳子さんはこの映画に参加して、
大勢の中で怒られ、期待され、ひとつの事をやり遂げる中で
かがりと同様に自然な笑顔が出来るように変わったそうです。

すごい!!
こんな結論が聞けるなんて思っていませんでした。

人が人と関わっていく中で癒されて、また歩み出せる。

そこには薬も魔法もありませんが、
「人間同士」でしか感じあえない「何か」がそれを可能にするんですね。

それを「こころ」と言ってもいいし
「居場所」と言ってもいい。

ーあなたには「居場所」がありますか?

台詞の少ない映画ですし、それほど説明もありません。
だからこそ邪魔されずに
色んなことを考えながら、感じながら観ることが出来る映画です。

大阪・九条のシネ・ヌーヴォでは
なんと7週にわたってのロングラン上映ですので、まだまだ間に合います!

是非、劇場で観てくださいね!
ゴンドラ公式サイト


最後は伊藤智生監督とのツーショット。





30年の時を経て、
60歳で映画界への再挑戦に踏み切った監督にものすごく熱いものを感じています。

トークショーやオフ会では次回作の構想まで聞いてしまいましたので
楽しみで仕方ありません。

そこには私の大好きな女優さんが主演で参加されるとか。。
心から完成を望んでいます!!

そしてプロデューサーの貞末麻哉子さんは
多くのドキュメンタリーを撮り続けていらっしゃいます。

静岡県富士市にある生活介護事業所でら~とを舞台にした
「普通に生きる~自立をめざして~ 」

は私も気になっていた映画なので、
どこかで機会をみて是非見たい!と思っています。
障がい者の普通に生きるという中には
「働く」も含まれていて欲しいなぁと思うのですが、果たして、、
映画を観るのが楽しみですね^^

この日は貞末麻哉子さんの撮った最新作
「ぼくは写真で世界とつながる~米田祐二22歳~」のご本人が
なんと私と同じ回で「ゴンドラ」を観ていました。

会場に漏れる彼の「きれい」という感想こそが、この映画の「画」の魅力です。

もう一度言いますが、ぜひ劇場で観て感じてください。

本当に「いい映画」と出会えた一日でした。
全ての人との出会いに感謝です。


2017年5月5日金曜日

いい加減が丁度いい

支援員の竹下陽一です。
4月9日の午後、晴れ間を狙って奈良県桜井の安倍文殊院の桜を見に行きました。

このお寺を創建したのは、
大化の改新の一役を担った安倍臣倉梯麻呂で後に左大臣となった人です。
この時代、安倍氏はこの地を本拠地とする軍事氏族でした。

一方、右大臣となった蘇我倉山田石川麻呂は蘇我氏の資産管理をしていた氏族で、
蘇我氏への貢ぎ物を宗家の蘇我入鹿が独占し始めたことに不満を持っていました。

そして大化の改新の首謀者である中臣鎌足は神官で、
祭祀を行う中で大王(おおきみ)のようにふるまう蘇我入鹿に対して
不満を持つ氏族の存在を探り
中大兄皇子を立て蘇我氏を倒す計画を企てます。

安倍氏の軍事力、蘇我倉山田の資金力、中臣氏の情報力の
3つの条件が揃ったからこのクーデターが成功したのです。

力の原理は今も昔も変わりはありません。



水面に浮かぶ桜の花びらがきれいでした



このお寺は安倍氏の氏寺なので、
その後の奈良時代の遣唐留学生の安倍仲麻呂や平安時代の陰陽師の安倍晴明も祀られ、
現在では第90代内閣総理大臣として安倍晋三氏も灯篭を寄進されています。









私は20年前に夢枕獏氏の「陰陽師」を読んで以来、安倍晴明や陰陽道に興味があり、
安倍晴明ゆかりの寺として特にここをよく訪れます。
 
紀元前3世紀初め、
諸子百家の一人である鄒衍が陰陽説と五行説をまとめ
6世紀頃日本に伝わり道術の要素も加わって陰陽道として日本で独自の発展を遂げます。

陰陽道の中でも特に「陰」と「陽」という二つの概念に興味があります。

この二つは相反するものでありながらも共存の関係にあります。
偶数と奇数、月と太陽、夜と昼、地と天、女と男などの関係がそれにあたります。
 
それら以外に私は副交感神経と交感神経も「陰」と「陽」の関係にあると考えています。

自律神経と免疫は連動していて
副交感神経が優位だとリンパ球が増え、交感神経が優位の状態では顆粒球が増えます。
副交感神経の優位が続きリンパ球が増え続けると免疫システムが活発になり過ぎ
自分の体を攻撃しはじめます。
それが花粉症、アトピー、リウマチの原因となるのです。

また、緊張状態やストレス、悩みなどで休むべき時に眠れない状態が続くと
交感神経優位で顆粒球が増え、
それらが死ぬときの活性酸素が組織や細胞に障害を引き起こし癌の原因になります。

夜0時から3時頃は癌細胞の分裂や増殖が活発になる時間帯です。
まさに小説「陰陽師」に出てくる百鬼夜行で
鬼や妖怪が丑の刻に人や牛を食らうように人の体を癌細胞が蝕むのです。
この時間帯は休んで副交感神経を高め細胞の修復を行いましょう。

要はバランスが大事でどちらに偏ってもダメなのです。

私は利用者さんに
「仕事で頑張るのはいいですが、体調管理もきちんとしてください。それも仕事のうちです。」と言っています。

荘子の言葉に「陰陽錯行、則天地大絯。」というのがあります。

自然界はすべて陰と陽から成り立っている
それらが正しくその位置にあって運行すれば平穏であるが、
乱れると天地はかたまりになって解けない状態になる

という意味です。

「いい加減」というと悪い受け取られ方をしますが、
加減を考えてやるとうまくいくと考えています。

いい加減が丁度いいのです。
働いているときはそのことに集中し、休む時にはゆっくりと休む。

それも眠る直前まで緊張状態にあってはダメです。
ゆっくりと移行させていく、そして朝起きて日の光を浴びて
ゆっくりと目覚めていくのがいいのです。

冬(陰)と夏(陽)の間に春があるように。

その移り変わりの季節、短い時間でしたが、
ここ安倍文殊院で春を満喫することができました。

心地よい春風が桜の花びらを散らし文殊池に浮かんで水面に映る桜とともに
ピンク色に染まってとてもきれいでした。

境内を散策した後、安倍文殊院の本尊である快慶作文殊師利菩薩に健康を祈願し、
仏像から伝わる快慶の魂心と
長い年月の間に積み重ねられた信仰心を肌で感じた後、お寺を後にしました。
合掌。
                    
 

2017年5月4日木曜日

40代、50代に迎える「人生の転換期」

映画好きにとって長期休暇はときめきますね。
こんにちは、代表の生熊です。

さて、前回のブログで月1回は映画を紹介するブログにする宣言をしました。
今回はその記念すべき第1回目!

何にしようかと迷って、前回のブログの時には既に決まっていました。
で、クイズにしていたんですが、

見事に誰も答えてくれなかったのです。笑

寧ろ、タランティーノ監督って誰?
という雰囲気もビシビシ感じましたので、これは誰も答えなくても仕方ありません。

あ、これを書いている途中にスタッフから
「パルプフィクション」ですか?「キルビル」ですか?と言われましたが、、

違います^^;


早速答え合わせといきましょう。


その前に
クエンティンタランティーノ監督について少し。

クエンティン・ジェローム・タランティーノ(1963年生)
映画監督であり、脚本家、そして俳優でもある。
レンタルビデオショップ店員時代に、大量の映画に埋もれ働きながら脚本を書いた。この当時に培った映画の知識が、後の映画制作に役立っている。主にアジアを中心としたマニアックな映画・日本のアニメ・音楽に精通している。シネフィルを自称する。
タランティーノの作風は、自身の映画趣味が随所に見受けられる。(wikipediaより引用)

つまり、自分が好きな映画を
これでもか!と詰め込んだ映画を撮る。

犯罪行為や残虐行為、あるいはグロテスクな表現が多いにも関わらず

妙なリアルさを追求せず、CGを使わないというこだわりもいい!

だからどこかアニメーションのようにコミカルで
複線が張られた様々は人物のドラマと
映画ファンを「クスッ」とさせるような要素がミックスされて、
唯一無二の作風が世界中で受けています。

どこを切り取ってもセンスのいいビジュアルを持たせる天才!奇才ww

タランティーノの映画は
映画じゃないと出来ない事だらけです^^

もうひとつ私が彼にシンパシーを感じているのは
ありとあらゆる人物が人種や出身地を問わず登場すること。

これにより「その人が持っている背景」にバリエーションが出るため
ドラマに厚みが出るんですよね。

まあ、きっとタランティーノ監督は
自分の「好き!」だけでキャスティングをしたんでしょうけどw

でも「好き!」だけでこれだけ多種多様な人物を作り上げることが出来るのは
彼に元々「偏見がない」という証拠だと思うんですよね。


という事で、

私が1番好きなタランティーノ監督の映画は


『ジャッキー・ブラウン』です^^

ハリウッドの映画でも数すくない「黒人女性」が主人公の映画!

実は70年代のソウルトレインや
ファンクミュージックが大好きなんです!
パム・グリア!!最高です。

もう、とにかくかっこいい!!
音楽も素晴らしい!!

パム・グリアって誰?という人も
タランティーノ監督を知らない人も
とりあえずオープニングを観てください。


ちなみにタイトル字は
これもパム・グリアが主演していた映画「Foxy Brown」のパクリです^^

物語は、主人公(ジャッキー・ブラウン)がCAという立場を利用し
武器の運び屋という裏家業をしているという設定から始まります。
そういえば『ジャンゴ』にはプランテーションの農園が出てくるし、
黒人を使う時の設定は、よくある映画の中のイメージが採用される事が多いですね。

長年武器の運び屋だったジャッキー・ブラウンがFBIに逮捕される事で
突然、この日がジャッキーブラウン最後の取引の日となります。

逮捕されたことでCAにも戻れない、かといって裏家業もこれ以上やりたくない。
人生の半ばすぎを迎えたジャッキー・ブラウンが、自分なりにこれまでを振り返り、
新しい一歩を踏み出していくために「ひと仕事をする」というメインストーリーに
その仲間だったり、FBIだったり、それをとりまく関係者だったり、無関係者だったりの
いくつかのストーリーがクロスして展開されていきます。

この中年キャリアウーマンの物語は
誰しもがいずれ迎える人生の転換期なんですよね。

もう「若くない」しかし、まだまだ「人生は長い」
その時に、何を想ってこれからどうするのか

ちょうど、自分が今その年齢に差し掛かっています。

これからどうするのか、どう生きるのかということに正解はありませんが、
様々な方向から考えてみるというきっかけになっています。

そんなわけでタランティーノ監督の作品の中では、
一番共感しやすいかな、と思います。

内容はまったく参考にはなりませんが^^;;

これは若いパム・グリアに熱狂していたタランティーノ監督自身が
今のパム・グリアに感じていることなのかもしれませんね。

最初に書きましたが、
ハリウッド映画で「黒人」が主人公の映画はまだまだ少ないのが現状です。
それにさらに「女性」となると格段に数が減ります。

この映画が公開されて20年経った今でも、さして状況は変わっていません。

その中で、
今年のアカデミー賞の最優秀作品賞が「ムーンライト」であった事は
本当に喜ばしいことだと感じています!
こちらは絶賛公開中!です。
一緒に盛り上げていきましょう。

ムーンライト公式ホームページ


次回も、、映画の話題になる予定^^;
ちょっとご紹介したい「いい映画」がありますので楽しみにしていてください!!

それでは皆様、よいGWを!