2017年5月5日金曜日

いい加減が丁度いい

支援員の竹下陽一です。
4月9日の午後、晴れ間を狙って奈良県桜井の安倍文殊院の桜を見に行きました。

このお寺を創建したのは、
大化の改新の一役を担った安倍臣倉梯麻呂で後に左大臣となった人です。
この時代、安倍氏はこの地を本拠地とする軍事氏族でした。

一方、右大臣となった蘇我倉山田石川麻呂は蘇我氏の資産管理をしていた氏族で、
蘇我氏への貢ぎ物を宗家の蘇我入鹿が独占し始めたことに不満を持っていました。

そして大化の改新の首謀者である中臣鎌足は神官で、
祭祀を行う中で大王(おおきみ)のようにふるまう蘇我入鹿に対して
不満を持つ氏族の存在を探り
中大兄皇子を立て蘇我氏を倒す計画を企てます。

安倍氏の軍事力、蘇我倉山田の資金力、中臣氏の情報力の
3つの条件が揃ったからこのクーデターが成功したのです。

力の原理は今も昔も変わりはありません。



水面に浮かぶ桜の花びらがきれいでした



このお寺は安倍氏の氏寺なので、
その後の奈良時代の遣唐留学生の安倍仲麻呂や平安時代の陰陽師の安倍晴明も祀られ、
現在では第90代内閣総理大臣として安倍晋三氏も灯篭を寄進されています。









私は20年前に夢枕獏氏の「陰陽師」を読んで以来、安倍晴明や陰陽道に興味があり、
安倍晴明ゆかりの寺として特にここをよく訪れます。
 
紀元前3世紀初め、
諸子百家の一人である鄒衍が陰陽説と五行説をまとめ
6世紀頃日本に伝わり道術の要素も加わって陰陽道として日本で独自の発展を遂げます。

陰陽道の中でも特に「陰」と「陽」という二つの概念に興味があります。

この二つは相反するものでありながらも共存の関係にあります。
偶数と奇数、月と太陽、夜と昼、地と天、女と男などの関係がそれにあたります。
 
それら以外に私は副交感神経と交感神経も「陰」と「陽」の関係にあると考えています。

自律神経と免疫は連動していて
副交感神経が優位だとリンパ球が増え、交感神経が優位の状態では顆粒球が増えます。
副交感神経の優位が続きリンパ球が増え続けると免疫システムが活発になり過ぎ
自分の体を攻撃しはじめます。
それが花粉症、アトピー、リウマチの原因となるのです。

また、緊張状態やストレス、悩みなどで休むべき時に眠れない状態が続くと
交感神経優位で顆粒球が増え、
それらが死ぬときの活性酸素が組織や細胞に障害を引き起こし癌の原因になります。

夜0時から3時頃は癌細胞の分裂や増殖が活発になる時間帯です。
まさに小説「陰陽師」に出てくる百鬼夜行で
鬼や妖怪が丑の刻に人や牛を食らうように人の体を癌細胞が蝕むのです。
この時間帯は休んで副交感神経を高め細胞の修復を行いましょう。

要はバランスが大事でどちらに偏ってもダメなのです。

私は利用者さんに
「仕事で頑張るのはいいですが、体調管理もきちんとしてください。それも仕事のうちです。」と言っています。

荘子の言葉に「陰陽錯行、則天地大絯。」というのがあります。

自然界はすべて陰と陽から成り立っている
それらが正しくその位置にあって運行すれば平穏であるが、
乱れると天地はかたまりになって解けない状態になる

という意味です。

「いい加減」というと悪い受け取られ方をしますが、
加減を考えてやるとうまくいくと考えています。

いい加減が丁度いいのです。
働いているときはそのことに集中し、休む時にはゆっくりと休む。

それも眠る直前まで緊張状態にあってはダメです。
ゆっくりと移行させていく、そして朝起きて日の光を浴びて
ゆっくりと目覚めていくのがいいのです。

冬(陰)と夏(陽)の間に春があるように。

その移り変わりの季節、短い時間でしたが、
ここ安倍文殊院で春を満喫することができました。

心地よい春風が桜の花びらを散らし文殊池に浮かんで水面に映る桜とともに
ピンク色に染まってとてもきれいでした。

境内を散策した後、安倍文殊院の本尊である快慶作文殊師利菩薩に健康を祈願し、
仏像から伝わる快慶の魂心と
長い年月の間に積み重ねられた信仰心を肌で感じた後、お寺を後にしました。
合掌。
                    
 

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