結構前の話ですが、
丁度阪神淡路大震災の年だったとおもいます。
職場の親方の関係である先生と知りあうことになります。
その先生は、不動明王を信仰され、人助けされている方です。
私も小さいころから神仏に興味もあり、
その先生に会いたいという衝動に駆られました。
そして、そのころの親方に先生のおうちにつれていただきました。
先生のおうちに入ってお不動さんの間にとうされ、
何か不思議なものを感じたことを覚えています。
そんな空間で、目に飛び込んできたのは、二つの掛け軸です。
ひとつは西国三十三か所観音さん巡り達成の掛け軸です。
西国三十三か所は有名ですが、
もう一つは近畿の三十六不動巡りの掛け軸でした。
すぐに近畿の三十六不動さん巡りをしたいという思いが駆け巡りました。
結局、その年の初夏から秋にかけて成就することができました。
その近畿の三十六不動の中で特に印象に残ったところの一つで、
豊臣秀吉の花見で有名な京都の醍醐寺のおくの山の山頂にある上醍醐寺です。
そこは西国三十三か所の霊場にもなっています。
その上醍醐寺にいきたくなってお山に上がり、
お不動さんがおられる五大堂にてお参りをすませて、
前から気になっていた山頂から少し降りたところにある
岩戸のお不動さんにお参りすることにしました。
来た道をそのまま帰ろうと思い道を確認しながら行きましたが、
来た道を戻っているつもりが、
同じところに戻っていました。
行っても、行っても同じところに戻ってくる状況でした。
私の頭の中には、これって遭難?という文字が浮かび
心の中で「誰か、助けて」叫んでいました。
笑い話ではないけれど、
なぜか上空にヘリコプターが飛んでいたのをよく覚えています。
「おちつけ」どうしたらいい、「考えろ」思いつつ歩いていたら、
ふと目に入ってきたのはポイント、ポイントに赤い布が木にむすんでありました。
「そうか、ここは行者さんが山歩きする行場だ」と気づきしばらく歩いていると、
岩場に鎖が打ち付けていました。
おもいきって、お不動さんの御真言をとなえながら下りました。
すると一般山道にでてきました。
次になんとハイカーの人が登ってくるではありませんか。
「ああー、助かった」
その人に上醍醐寺に戻る道を聞いて歩き始めました。
しばらくして、視線を上げると
前を歩いているはずのハイカーの人がいなくなっていました。
というより消えた感じです。
「お不動さんが助けてくださった」と心の中でお不動さんに感謝しました。
この話を先生にすると
「動物霊のいたずらです。そこは行場なので行者さんと一緒に行くことです。一人では入ってはいけない」と注意をされました。
今思うと結構怖い不思議な体験でした。